無口な王子様
クリスマス
翌朝、私はリビングのコタツの中で目が覚めた。
昨日の夜、ボタン付けをしてしまった後、力尽きて布団までいけなかったのだ。
起き上がると、全身汗をびっしょりかいていて、のどもカラカラだった。
のろのろと立ち上がると、絡まった髪を手で整えてキッチンへ向かう。
――誰も、いないのかな?
私は、グルリとキッチンとリビングを見渡した。
母親の希望で、キッチンからはリビングと庭が一望できるようになっている。
そのどこにも、家族の姿は見えなかった。
すると、食卓に
『おはよう。今日はパパとママはデートです。夜には帰るので、凛も遅くならないようにね。 ママ』
と、書き置きがしてあった。
相変わらず仲のよろしいことで。
私は、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してコップ一杯を一気に飲み干した。
時計を見ると、もう10時を回っていた。
そういえば、今日は1時にソワレに集合と亜由美が言っていたっけ。
私は、綺麗に磨かれたシンクにコップを置くと、まずは汗を流すためお風呂に向かった。