無口な王子様
本当に、これを着た慶太は王子様のように見えるだろう。

自画自賛になるけれど、初心者の割には出来がよすぎる。

途中、自信を無くしたり、諦めかけたりしたけれどここまで出来たんだもの。

私は、初めて自分を誇らしく思った。
そして、ふと、和也のよく言っていた言葉を思い出した。

『自信って、自分を信じるって書くんだよ。』

自分は信じて頑張れば、夢だって叶う。

そうやって、和也はステージに立てるようになったんだ。

才能なんて不確かなもので、向いてるとか向いてないとかなんてすぐには分からない。

でも、自分を信じさえすればこうしてやり遂げる事が出来る。

和也はその事にもっと早くから気付いていたんだね。
私が、邪魔になるって言われた理由がなんとなく分かったような気がするよ。
大きな夢を追いかける和也と違って、私は何一つ持っていない無知な女の子に過ぎなかったから。

でも、今の私なら、きっと和也と対等に渡り合える。

もう、私は自分を信じようとしているんのではなくて、自分を信じれるようになったのだから。




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