無口な王子様


今日はいい一日になると思っていたのに。

本当なら今頃はみんなでケーキを囲んで、笑顔でいたはずなのに。

慶太へのプレゼントを有希さんに見てもらうはずだったのに。

それを叶わないものにしたのは、気のせいだと片付けた私のせいだ。

ふいに有希さんの笑顔が浮かんできた。

あの笑顔はもう見れないんだ。

私は息苦しくなって、胸を押さえた。

――慶太……助けて……私、どうすれば……

慶太………

そうだ、慶太だ。

私は顔を上げて洋子さんを見た。
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