無口な王子様
私がそう言いかけると、

「分かってる、ここに書いてあったから。」

亜由美は、自分の手紙を指差した。

「慶たんは、凛のことに行くんだね。」

その声は冷たく鋭かった。

「……うん、そうみたい。」

私の声は今にも消え入りそうにか細い。

「よかったじゃん。」

亜由美はそう言って、私の手を払った。

「亜由美ちゃん!!」

優奈がそれを見て、亜由美をたしなめるように言った。

……私の考えが甘かったんだ。


亜由美は、もう慶太を奪った私とは友達ではいれなって言うんだね。

それは当然のことだ。
きっと、私の亜由美を拒絶しただろう。
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