無口な王子様
私は、ただ亜由美の背中を見ながらあの約束を思い出していた。

『慶太がどちらを選んでも友達でいること』


そんな約束、やっぱり無理だった。

本当に愛しい人に選ばれる代償が、有希さんの命と亜由美との友情だなんて。


こんな事になるなら、会わなきゃ良かった。

亜由美にも有希さんにも……慶太にも。


「なんで、出会っちゃったんだろ……」

私は、ポツリと呟いた。

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