無口な王子様
すると、優奈が立ち上がって私を睨み付けた。


「バカ!!何でそんな事言うの!?
慶太くんは凜を変えてくれた大切な人でしょ?
有希さんは慶太くんを作ってくれた人だし、亜由美ちゃんはきっかけになってくれた人だよ?
なのになんでよ!」

優奈の声はいつものアニメ声でも何でもなかった。

「そんなんじゃ、慶太くんがかわいそうだよ!
有希さんの想いを無駄にするんじゃないよ!
そんな気持ちでいるなら、亜由美ちゃんに譲りな。
有希さんの遺志なんて、無視しちゃえばいいじゃん!
その方が慶太くんも幸せだよ。」


優奈の言葉は私に深く突き刺さった。

「優奈ちゃん……。」

洋子さんが、優奈の肩を抱いて落ち着けようとする。

優奈はしぶしぶ椅子に座り直して、私をじっと見た。
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