無口な王子様
慶太の幸せって何だろう。
自分さえ幸せに出来ないくせに……誰かを幸せにするなんて私には出来ない。

実際、亜弥も恭子も亜由美も皆私から離れていってしまった。
そんな私に何故……有希さんは慶太を託したのだろう。

「……ごめんなさい。」

私は謝るしかなかった。

「なんで謝るの?何に謝ってるの?」

苛ついた声が返ってくる。
「私には分からない。何で有希さんが、私に慶太を……。どうして亜由美じゃなくて私を選んだのか。」

すると、洋子さんが私の手を握った。

「あのね、凜ちゃん。
姉さんはあなたが良かったのよ。
……あの子は私に似ているっていつも言ってたの。
何でも自分のせいにして、苦しんでいるって。
姉さんもね……いつも自分を責めていたわ。

子供を産む事が出来なかったって。」
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