無口な王子様
そうして、私は卒業後、この住み慣れた家を離れるとこに決まったのだ。

その先は、相変わらず未定だけど「一人暮らしするの」と言えるようになっただけで少しは気休めにはなった。


「ご飯毎日作らなきゃね。」

慶太にそう話しかていると、布団の上に置いてある携帯が鳴った。


私はディスプレイに表示された名前を見て、思わず留守電に転送しようかとさえ思った。

……恭子だ。

私は迷った挙句、通話ボタンを押した。


「はい……。」

しばらくの沈黙の後、久しぶりの恭子の声がした。

「凛?恭子。急にゴメン。」

その声は、どこかソワソワとした様子だった。

「うん。どうしたの?」

私は、出来るだけ何事もなかったかのように話した。
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