無口な王子様
いろいろと策を練っているうちに、コーヒーが届いた。

「はい、どうぞ」

「あ…ありがとうございます。」

目の前に置かれたカップに入って褐色の液体から、芳醇な香りが立ち上ぼる。

「いい香り……」

私がポツリと呟くと、

「あら、ありがとうございます。ここのお豆は自家焙煎なの。違いが解って頂けて嬉しいわ。」

女性が微笑む。



自家焙煎なんて言葉は知らないけれど、この女性と少しでも打ち解けれるかもしれない。

そう感じて、私は会話を引き伸ばした。

「私、実はいつも家のインスタントしか飲まなくて……」

「まぁ、そうだったの。じゃあ、是非ここにいらして下さい。いつも挽きたてのコーヒーをご用意してますから。」

女性はそこまで言うと、私の制服に目を止めた。

「あら…あなた…」


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