無口な王子様
ようやくずっと言いたかったことを伝える事が出来た。

「私が、恭子や亜弥を大切にしてなかったから。二人が怒るのも無理ないよ。」

私の腕は、いつの間にか、慶太を抱きしめていた。

「……凛。」

恭子はそう言って鼻をすすった。

電話の向こうで、泣いている恭子の姿が鮮明に浮かんで、私の目にも涙がにじんだ。


「今まで言い出せなくてゴメンね。私から謝るべきだったのに。」

「ううん。あんな事言って傷つけたのは私達だから。」

「違うよ!ああ言われて当然なんだよ。ね?」

「……ありがとう。じゃあ、私達……。」

「また……友達に戻れるかな?」

「うん!うちら、一番の親友だよ!」

恭子の嬉しそうな声が受話器越しから聞こえた。


周りから見れば、バカみたいだろう。

些細な事で傷つけあって、電話一本で仲直りできてしまう。

でも、それ以外に方法を知らない。

こうしないと、お互いの気持ちを知る事が出来ないのだ。
まだまだ子供。そういうことだ。





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