無口な王子様
でも、きっと大人になれば謝る事を忘れてしまうだろう。
自分が正しい、そう言い張って頑なになってしまう。

そうならないうちでよかった。

恭子も亜弥も私の大切な友達だから。

「亜弥もね、凛のことすっごい気にしてて受験勉強どころじゃないってわめいてたよ。
ね!明日久しぶりに3人で遊ぼうよ!うちらも、冬休み勉強ばっかだったし、最終日くらいパーっと!ね?」

「うん!いいね!私も、二人に報告しなきゃいけない事があるから。」

私は、二人に慶太の事を話す決心をしていた。
ここで話さないと、また同じ事の繰り返しになる。

二人に拒絶される心配より、そのほうが怖い。

恭子との電話を切ったあと、私は慶太をギューっと抱いて

「よかったぁ……」

と、思わず呟いた。

「明日、慶太の事紹介してくるね!」

嬉しくて嬉しくて、私はニヤニヤしっぱなしだった。

きっと、恭子も私と同じ顔をしているだろう。

そう思うと、たまらなく可笑しくてつい笑ってしまった。

有紀さん、大切な友達とはいつか重なるもの。そう言ってたの嘘じゃなかったね。
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