無口な王子様
翌日、冬休みの最終日を私は恭子と亜弥と3人で過ごした。
以前よく寄り道していたファーストフードのお店で、離れていた分を取り戻すかのように私達はよくしゃべった。
さすがに、最初はなんとなく気まずくて伏し目がちになっていたけど、元の調子に戻るまで、さほど時間はかからなかった。
「ねぇ。そういえば、昨日報告したい事があるって言ってなかった?」
近況報告もあらかた済んだあたりで恭子が、当然思い出したように切り出した。
「え?何?報告?」
亜弥は、飲みかけのジュースを机に置いて聞く体勢をとる。
「あぁ……あのね、実は私、亜由美とただたんにつるんでたんじゃないの。」
興味津々な二人に、私は、ソワレに行きだしたところから全て話した。
亜由美のとこ、有紀さんのこと、そして慶太のこと。
包み隠さずに全てを話した。
「で、有紀さんが亡くなってから私が慶太を引き取る事になって……結局、亜由美とは連絡も取らなくなっちゃったの。」
私が話し終えると、意外な事に二人の目には涙が浮かんでいた。