無口な王子様
「ちょっと!泣かないでよ!」

私が慌てて言うと、

「だって…そんな大変なときにうちら凛のことほったらかしてたじゃん。」

亜弥が悔しそうに唇を噛んだ。
私は、そう言ってもらえて素直に嬉しかった。

「今そう言ってもらえるだけでいいよ。ありがとう。」

亜弥も恭子も涙で目を潤ませながら、頷いた。

「でね、今日は慶太の事を言いたくて。まだ一つ言ってないことがあるんだ。」

私は、鞄の中から携帯電話を取り出した。

「え?そのお人形のこと?」

恭子が不思議そうに首をかしげた。
私は大きく息を吸って、二人を見ながらゆっくりと言った。

「うん、驚くとは思うんだけど。私…そのお人形の慶太の事が好きなの。
それも、本気で。」


「え?それって、もしかして…」
「男の子としてってこと?」

二人の目は驚きでまん丸だった。
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