無口な王子様

私は幸せな気分で冬休みの最後の日を過ごせた。

もう明日からの新学期が、憂鬱ではなくなっていた。

あの日から、暗くよどんで見えた世界が急に明るくなったようだ。

街に溢れる笑顔も、今日は羨ましくない。

私は、家に帰ると一番に慶太に報告をした。

亜弥と彼氏の話、恭子の愛犬の話、そして慶太に対する二人の反応を一つ一つ話すと、慶太はそれを黙って聞いてくれているような気がした。

「でね、慶太の事かっこいいって言ってたよ!良かったねー!」

私がそう言うと、慶太は嬉しそうに見えた。


私は、思わず慶太を抱き締めた。
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