無口な王子様
私の心臓は大きく跳ねた。


「あなた、桧山高校の学生さんね?何年生?」

「あの……3年です。花村 凛といいます。」

あまりに簡単に話が進んで慌てた私は、思わず自己紹介までしてしまった。

「だったら、凛ちゃんは亜由美ちゃんと同級生ね。」

亜由美ちゃん……やっぱりよくここに来てるんだ。

「坂口亜由美ちゃん、ご存じないかしら?」


知っている…といえば知っているが、実際には面識はない。

「えーっと、あの……」

私が言い淀んでいると、突然、入口の扉が凄い勢いで開いた。

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