無口な王子様
見出しには

『今年イチオシのアーティスト』

と書かれてあり、簡単なプロフィールが添えてある。
他にも数人の名前が上がっている小さな記事だったけど、こうして取り上げられるなんて凄い事だと思った。

そして、もうどうやっても私の手の届かない所へ行ってしまった事を実感させられた。

きっと、未練がましい私なんかよりずっと前に、和也の中から私の存在は消えていたのだろう。

それでも良かった。

「すごいじゃん!私を捨てたからには、これくらいになってもらわなきゃね。」

私は、亜弥に雑誌を返す。
すると、恭子が

「だよねー!これで凜もフラれた甲斐あったねー!」
と、笑った。

本当に恭子の言う通りだ。
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