無口な王子様
そして、その願いは叶いあっという間に2月がやってきた。

私の学校では、2月になれば、受験を見越して自由登校になる。

私は、ソワレで洋子さんに会ったり、引越しのための準備などで慌ただしい毎日を送っていた。

そうしながら、亜弥や恭子に付き合って学校や図書館やに足を運んだりもしていた。


そして、優奈とは雪乃ちゃんと慶太を交えて、家でのんびりと過ごす事もあった。
そんな時は、いつも紅茶が私達の前に並んでいる。

あれ以来、あんなに毎日飲んでいたコーヒーは飲まなくなっていた。

有希さんのコーヒーの味を忘れたくないから、というのが理由だ。

「もう一回でいいから、有希さんと亜由美とおしゃべりしたいな。」

ポツリと、優奈が聞こえないくらいの声で言っていたのが、私の心に釘を刺した。

< 193 / 205 >

この作品をシェア

pagetop