無口な王子様
「ごめんね。亜由美は本当に自分勝手だったよ。」

私が全て話終わると、亜由美はそう言って、ため息混じりでカップに口を付けた。

「逃げちゃった自分が情けない。凜は逃げなかったのにね。
本当にごめんね。」

「ううん。亜由美、約束守ってくれたでしょ?あの木の下に埋めてくれたじゃない。
それに、こうして来てくれたし。
私、凄く嬉しいよ。」

私がそう言うと、

「時間かかっちゃったけどね。」

と、亜由美はうっすら笑った。

「許すとか許さないとかじゃないから謝らないでよ。
私は怒ってもないんだから。
それに、亜由美には感謝してるんだよ。ありがとう。」

亜由美がいたから慶太にも有希さんにも会えた。

どんな事があろうと、亜由美には感謝の気持ちしかないよ。

亜由美は涙を浮かべていた。
でも、その顔は最高の笑顔だった。
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