無口な王子様
ハサミの音
翌日、私と亜由美はデザイン画(といっても稚拙なものだけど)を持って服飾材料のお店に向かった。
有希さんにもらった地図を片手に二人で歩く。
ソワレと学校以外で会うのは初めてで新鮮だけど、どこか緊張していた。
そのせいか、二人とも口数が少ない。
そこで、昨日から気になっていた質問を亜由美にぶつけてみた。
「ねえ、昨日の有希さん……本気だったのかな。」
「さぁね。分かんない。」
亜由美は地図と周りの建物を見比べながら、素っ気なく答えた。
「あ!あった!ほら!」
亜由美は目的地を見つけたらしく、私の腕を引っ張る。
私は、何か腑に落ちないまま亜由美にされるがままになった。
またこうして、亜由美のペースで進んで行くんだな。