無口な王子様
お店の中に入ると、亜由美は

「わぁ!すごーい!」

と、歓声を上げてさっさと自分の目当ての方へ行ってしまった。

私は仕方なく一人で生地を探す事にした。


素材の事も何も知らないで来たから、どこから探していいのか分からずに、ただ店内をウロウロする。

無知って恐ろしいな……

色はともかく、こんなに種類があるなんて考えてもなかった。

私は、ふと初めてソワレに行った時の事を思い出した。


あの時は、コーヒーの種類の多さにびっくりしたんだったな。

そんな事を考えながら、とりあえず端の棚から順番に回った。
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