無口な王子様
亜由美はうつむいてじっとハサミを見つめている。
私は自分の言葉を後悔した。
亜由美を救うつもりでいたのか、それとも好奇心か……
しかし、パッと顔を上げた亜由美は笑っていた。
「アイツねぇ、浮気してたの。浮気!あり得ないでしょ?
しかも、亜由美の友達!」
「友達……?」
「うん。サイテー!変な噂まで流してさ。」
「……噂ってあの…?」
「凛も知ってたんだぁ。あたしが援交したとか、妊娠したとか、パパが会社辞めたとか。
あり得ないからぁ!アイツがあの子にそんな嘘付いてさ。
亜由美はサイテーな奴だからって別れたいんだって。」
「そんな…酷いよ。」