無口な王子様
女の子が去った後、私は改めて喫茶店を見た。


―ソワレ―

と書かれた、何年もこの店を見守ってきた看板。

ステンドグラスがはめ込まれた木製のドア。

店先には小さな鉢植えがいくつか並んでいる。

まさに、おじいちゃん世代にウケそうな喫茶店だ。


あんな今時風の女の子が、いかにも常連ぽく出て来るなんて、激しい違和感を感じる。


意外と中はおしゃれなカフェ風なのかもしれない。

そう思い、私はアーチ型の窓に近付きそっと中を覗いてみた。

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