無口な王子様

私と亜由美は今まで以上に近い存在になっていると感じた。

それはお互いの内に秘めていた思いを打ち明け合ってから、お互いの前では防御を解いていい安心感があったからだった。


同じ傷を持っているという事実も、二人をより近付けたのだろう。

友達を比べるなんてしちゃいけないかもしれないけど、亜弥や恭子といる時より、亜由美といる時のほうがよっぽど楽しかった。


そんな非道な考えは、私の全身からにじみ出ていたのかもしれない。
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