無口な王子様
亜弥と恭子のいない一日が始まった。

私、いつもどんな顔していたんだろう。


亜弥や恭子以外と話をしていたっけ。

一人で座ってる時は何を考えていたんだろう。

何もかもが不思議な感覚で、夢の中のようだった。

けれど、教室中に響く笑い声は紛れもない現実。

いつもはあの笑い声の中に私がいたんだ。

現実は辛すぎる。

こんな思いで毎日を過ごすなら、謝ってしまえばいい。

言い訳せずに、進学も就職もしない理由や亜由美と毎日会っている理由を話してしまえばいい。

でも、苛立つ二人に何を話しても聞き入れてくれないだろう。

今は何も言わない方がいい。


今は黙っているしかないんだ。

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