キミと一緒
「ったく…」

ドカっと椅子に座り込む美紀とは反対にケータイを受け取った涼香はカタカタと震えている。

「つ…ぎ逢え…ない…よ」

「あ…ごめ…涼香」

「美紀ちゃんのせいじゃないから…」

そう言って、涼香は席を立つ。

「帰るの…??」

コクンと涼香は頷いて喫茶店を出た。

「ありがとうございましたー」

店員のお姉さんがにこにこと愛想良く笑って涼香を見送る。

タッッ

不意に涼香が走り出す。

怖い

怖いよ

誰か助けて

そんな思いが頭に駆け巡る。

「ひっく…」

ドンッッ

「きゃっっ」

「おっと…」

涙で前が見えなかった涼香は誰かにぶつかった。

声からして男だろう。

「すみませ…」

「いえ…って大丈夫?!」

泣いているのに気がついたのか男は慌てて涼香に駆け寄る。

「平気…で…す」

「いやいや!!泣いてるじゃんっっ!!どこが痛いの??」

「ほんと…大丈夫ですから」

そう言って涼香はその場を立ち去ろうとする。

パシッッ

「泣き止むまでダメ」

「でも…」

「とりあえず、場所変えよ??」

男の言葉に、涼香はただ頷くしかなかった…
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