キミと一緒
カバンから涼香はそっとケータイを取り出す。

《木ノ下 光》

その名前を見て、涼香の体は強張る。

「彼氏から??」

「う…ん」

「俺も聞いていいか??」

こくんと涼香は頷いて、スピーカー設定にする。

PI

「もし…もし??」

[涼香。何してたの??出るの遅いじゃん]

「ごめん…」

[男??]

突然光の声が低くなる。

「違うよっっ!美紀ちゃんとお茶してたの…」

[荒井か…]

アライ

美紀の苗字だ。

ふと涼香が陸の顔を見ると、陸は 大丈夫 と涼香に囁いた。

[ねぇ涼香、荒井にはもう近づかないで??]

「え…??」

[わかった????]

さっきよりもっと低い声で光が言った。

「や…だ」

[え??]

「光。別れよう??」

消え入りそうな声で涼香が言う。

震える涼香の手を陸がそっと包んだ。

「こ…う??」

ブチッッ ツー ツー

「はぁ?!切りやがったあいつ!!」

「明後日、入学式だ…!!」

思い出したように涼香の顔は、サァと青ざめた。
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