ペアリングに愛をこめて
そして自分の携帯を取り出し、さっき付けたばかりのお揃いのキーホルダーを取った。
ぎゅっと握り、名残惜しそうに見つめてから、目の前に広がるイルミネーションの中に投げ捨てた。
どこか遠くで、キーホルダーが地面に落ちる悲しい音が聞こえた。
「もう、俺たちにあれは必要ないだろ?」
「……」
「それにあんなの持ってたら、理世のこと忘れられないよ」
『忘れなくてもいいよ』なんて、言えない。
アタシにも『忘れられない人』がいるから。