ペアリングに愛をこめて

どちらともなく手を繋いだ。



拓哉の手は、大きくて温かかった。



「理世」



「何?」



「別れよう」



「…うん」



「別れて、ハルのところにいけよ」



「…うん」



拓哉の声は震えていた。



ゆっくりと手が解かれる。



拓哉がアタシの背中を押す。



「先、行けよ」



「いいよ。拓哉から先行ってよ」



拓哉は首を横に振る。



「最後にもう少しだけ理世のこと見てたいから…先に行って?」



もう1度拓哉がアタシの背中を押す。










< 134 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop