Libra ~揺れる乙女心~
「理沙、浮気してるかも知れないんだ」
隆介の低い声が、何度も耳にエコーのように響いた。
「嘘…理沙はそんな子じゃないと思うよ」
いろんな噂はあるけれど、理沙はそんな子じゃないって私は信じたい。
他に好きな人ができたなら、さっさと次の男に乗り換えて、隆介を振ってしまうと思う。
2股なんて面倒なこと…できる子じゃない。
「そっか…そうだな。実際、証拠も何もねぇけどさ。」
隆介は大きなため息をついて、腕を組んだ。
「あいつじゃねぇのかな。俺を救ってくれる奴は…」
その横顔がとても悲しそうで、寂しそうで、どうしようもなく愛しかった。