Libra ~揺れる乙女心~
隆介は、その夜私の家に来た。
家の前の公園のベンチで涙を見せずに泣いていた。
「淳平さんが俺を裏切っていなくて良かった。俺の彼女だって知らなくて良かった」
隆介は自分の手を強く握り締め、ひざを叩いた。
「どうすればいいんだろう」
お母さんが突然自分の前からいなくなった隆介。
寂しいと言えない隆介は、誰よりも寂しがり屋で、孤独に怯えていた。
「隆介がしたいようにすればいいよ。私は隆介の味方だよ」
私がそう言うと、隆介らしくない優しい表情で笑った。