Libra ~揺れる乙女心~
「3点差なんてすぐ取り返せるさ!」
俺は無理をして明るい声をかけた。
もう俺にできることはない。
俺が貯めたランナーなのに、
俺が片付けることができなかった。
ベンチに戻って汗を拭く隆介に誰も声をかけられなかった。
責めることなんてできるわけがない。
どの試合でも、俺の後ろには隆介がいてくれた。
隆介がいるから、俺は少しの無理をしてでも渾身のストレートを投げた。
肩がつぶれてもいい。
そう思ったこともある。
それは、信頼できる最高のライバルであり、仲間である隆介がいたから。