Libra ~揺れる乙女心~
痛めたひじ
春の大会で痛めた肘が少しだけ痛かった。
それを俺は誰にも言えなかった。
俺は高校限りで野球をやめるつもりだった。
この夏で、肘を壊しても悔いはなかった。
どうしても野球がしたかった。
投げたかった。
この仲間と、
この場所で、
野球をすることが俺の幸せだった。
そんな俺の想いさえも、間違っていたんだと思う。
正直に監督にひじの痛みを相談していれば、
あの場面で俺に交代していなかったかも知れない。
そうすれば、今頃…
みんなの涙は嬉し涙だったかも知れないんだ。