Libra ~揺れる乙女心~
揺れる気持ち
謝るきっかけがつかめないまま、夏休みに入った。
夏休みは、ほぼ毎日練習があった。
そのおかげで、毎日隆介と健太に会うことができた。
不思議…
健太に涙を見られたおかげで、何となくすっきりしたような気がする。
あれから一度も泣いていないし、隆介の彼女の顔を見ても、悲しくはならなかった。
現実逃避をしているだけなのかも知れないけど。
隆介は、女の影なんて一切見せない奴。
本当に彼女ができたのか、聞いてみたくなる。
もしかしたら、噂だけなんじゃないか…
そう思うことにした。
そうすれば、私は…
今まで通り、野球部のマネージャーでいられる。
一生懸命走るみんなが大好きだった。
どの子もその先輩も、輝いていた。
私は野球が好き。
野球をしてるみんなが好き。
だから、一人の人に恋をして、ここにいられなくなるなんて嫌。
嫌いになることはできないから、
嫌なことは目をつぶって、見ないようにしよう。
隆介は、女になんて興味ない。
きっと、そうだ。