Libra ~揺れる乙女心~
夏休み1週間目に入った頃、やっと健太に謝ることができた。
休憩時間に、レモン水を配っている時…
『健太…ごめんね』
聞こえないくらい小さな声。
『俺こそ、ごめん』
健太はそう言って、目も見ないでその場を離れた。
男の子ってよくわからない。
急に、別人になっちゃった健太は遠く感じてしまう。
勝手だけど…
健太も、隆介も、どっちもやっぱり好き。
恋ではないけど、健太は私の中で特別な存在だった。
いつも守ってくれて、いつも優しくて、何かあれば健太に相談していた。
もうできないの?
もう健太は私に優しくしてくれないの?
大人になっちゃったの?
寂しいよ…
離れていく健太の目が、前よりずっと厳しくて、男らしく見える。