ありがとう。さようなら。
辺りはもう真っ暗。私は教室に残って委員会の仕事をしていた。
すると誰かの足音が聞こえてきた。まるでホラー映画のワンシーンのように。
”コツコツ”教室に誰かが近付いてきた。教室のドアが開いた。
”ガラガラ!!”
気づけば私は悲鳴をあげていた。
「きゃ~~!?」
「うわっ??どうした??」
「え・・・」
そこにいたのは、正輝くんだった。正輝くんも、私と同じ図書委員会に入っていて、仕事を手伝ってくれていたのだ。
「ご・・・ごめんなさい・・・怖いのが苦手で」
「いや、いいよ。脅かしてごめんね」
私に優しくほほ笑んだ。
「もう暗いから帰ろうか」
「でも、仕事が残ってるし終わったら帰る。私の家近いし」
そう言って仕事にとりかかろうとしたら、正輝くんが
「だったら、俺も手伝うよ。女の子一人じゃ危ないし。一緒に帰るよ」
胸がキュンと引き締められた。こんなことされたらますます好きになっちゃうじゃん。

「は~、やっと終わった。疲れたぁ」
「じゃぁ帰るね」
「あ、俺も帰る~」
本当に一緒に帰ってくれるの??嬉しいような悪いような。

「ねぇ、正輝くんって好きな女の子とかいるの??」
帰り道、恐る恐る聞いてみた。
「ん~知りたい??」
「え・・・うん・・・ダメ??」
「好きな人はぁ~」
私は息を飲んだ。
「秘密!!」
「えぇ~教えてよぉ」
「恥ずいし」
「お願い!!教えてください!!正輝様!!」
「わっ、分かった!!教えるよ!!」
「ほんと??やったぁ~!!」
「今俺の隣にいる、笑顔が可愛くて、頑張りやな女の子」
えっ・・・それって私のこと・・・だよね??
「名前は・・・??」
「長谷川 愛華ちゃん」
いきなり正輝くんに抱きしめられた。
「ひゃっ」
「俺、お前のこと好きだ!!付き合ってくれないかな??」
耳元でそう言われた。
「私も好きです!!付き合って下さい!!」
「まじ??ホントに、俺のこと好き??」
「うんっ、大大だぁ~いすきっ!!」

こうして、私達は付き合い始めた。まさかこの先、恐ろしいことが待ち受けてるなんて知る由もなくて。幸せに浸っていた。


< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop