Secret Heart



・・・



けいすけ先輩に聞いた通りに、あたしは屋上に繋がるドアの前に立っていた。




この先に陸人先輩がいる。



そう思うと

ドキドキする気持ちと緊張で複雑な想いでいっぱいになる。




落ち着くために大きく深く深呼吸して、思いきってドアを上げる。




ガチャ




フワリと心地良い風が吹き抜ける中、先輩は地面に座って空を見上げていた。



光を浴びる先輩の姿は、とても眩しく輝いている。





『…陸人先輩?』



恐る恐る呼びかけるあたしの声に反応して、先輩がゆっくりと振り返った。




「おー陽菜ちゃん、おはよ。」



今日も作り笑い。


先輩の心からの笑顔を見たのは何日前だったかな…



『おはようございます。
…隣座ってもいいですか?』



あたしの視線の先は、先輩の左隣の場所。




「ん、おいで。」



そう言って自分の隣をポンポンと叩く先輩の仕草に、キュンとした。





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