Secret Heart



『きっと、何か理由があったんですよ。』



上手い言葉ではないけれど…


少しでも心にかかる雲を払えればと思う。





「うん。俺はそう信じてる。」



そう言って微笑んだ先輩の笑顔は、心からのものだった。




その笑顔を見れただけで、あたしは満足。



こんなあたしでも、ちょっとは先輩の力になれたかな。





“応援してます”なんてまだ言えないけど、先輩が幸せになることを心から願います。





『そろそろあたし、授業に戻りますね。』



そう言って立ち上がり、お尻の汚れをはたいた。




「話聞いてくれてさんきゅ。」




屋上を出ようとドアノブに手をかけた時、あたしの背中に不器用に投げかけられた言葉。



自然と頬が緩んじゃう。





『またいつでも、相談してください。』





< 108 / 177 >

この作品をシェア

pagetop