Secret Heart
『きっと、何か理由があったんですよ。』
上手い言葉ではないけれど…
少しでも心にかかる雲を払えればと思う。
「うん。俺はそう信じてる。」
そう言って微笑んだ先輩の笑顔は、心からのものだった。
その笑顔を見れただけで、あたしは満足。
こんなあたしでも、ちょっとは先輩の力になれたかな。
“応援してます”なんてまだ言えないけど、先輩が幸せになることを心から願います。
『そろそろあたし、授業に戻りますね。』
そう言って立ち上がり、お尻の汚れをはたいた。
「話聞いてくれてさんきゅ。」
屋上を出ようとドアノブに手をかけた時、あたしの背中に不器用に投げかけられた言葉。
自然と頬が緩んじゃう。
『またいつでも、相談してください。』