Secret Heart
『ハァ、ハァ…。』
教室を飛び出して真っ直ぐに向かったのは、先輩のクラス。
先輩、いるかな…
ここまで来ても
やっぱり怖くなる。
瞳を閉じて、数回深呼吸。
不安を胸に教室の中を覗いた。
「陸人ならいないよ。」
その声に振り返った先にいたのは、けいすけ先輩だった。
「まだ来てないだけかもしれないけどね。」
『そうですか…。』
誰もがあたしの心を見透かしているみたい。
あたしそんなに
分かりやすいのかな?
もしそうだとしたら
けいすけ先輩は
知らないって言ってたけど
あたしのこの想いも
いくら先輩が鈍感だとしても、知ってるかもしれない。
いや…
知らないか。
先輩はサキちゃん以外の女の子が目に入っていないもん。