Secret Heart
「…陽菜。」
瑛司はなぜか、切なそうな表情を浮かべている。
いつもおちゃらけてるから、瑛司のそんな顔を見るのは初めてで…
どうしてそんな顔してるのか
ってすぐに聞きたかったけど…
なんとなく
聞いちゃいけない気がした。
「ほら、はよ行け。」
『わっ!』
気がつくとさっきの表情は消えていて、ぐいぐいと背中を押して急かされた。
押されるままに玄関の外に出ると、太陽が燦々と輝いている。
まるで、あたしを勇気づけるように…
振り返るとそこには
瑛司の太陽のような笑顔。
前を向いて、大きく深呼吸。
『頑張れあたし。』
あたしは、風を切って走り出した。