Secret Heart
「とりあえず、外出よっか?」
先輩はサキちゃんが起きることを心配して、あたしを部屋の外に連れ出した。
病院の中庭
子供たちが元気にはしゃぎ回ってる光景は、今のあたし達には不釣り合い。
「びっくりしただろ?」
『え?』
「紗季のこと。」
突然押しかけて迷惑がられている、と不安で上の空だったあたしは、質問を理解するのに時間がかかった。
『あぁ、えっと…少し。』
どんな会話をしていいのか
分からない。
どんな言葉をかけていいか
分からない…
「部活が終わって携帯開いたらちょうど電話が来て…。
あの時慌ててたから、ぶつかっちゃってごめんな。」
先輩から
事情を話してくれた…
あたしが問い詰めた訳じゃなくて
先輩が、自分から。
あの時に慌ててた理由が今やっと分かって、少しすっきりした気持ちになった。
そして、少しでも先輩から何かを話してくれたのは始めてだったから
すごく嬉しかった。
先輩が少しだけ
近付いた気がした。