Secret Heart
・ ・ ・
「俺そろそろ
紗季のとこに戻るよ。」
気持ちが落ち着いたのか
先輩はベンチから腰を上げた。
それにつられてあたしも立ち上がる。
そうだ!
あれ、渡さなきゃ。
『先輩…!
これ、サキちゃんのお見舞いにどうぞ。』
慌てて渡したのは
ここに来る前に買った花束。
どたばたしてて、渡すの忘れてたから…
「さんきゅー
紗季もきっと喜ぶよ。」
ニコッと笑って受け取ってくれたことが嬉しくて
次に来るときはフルーツの盛り合わせにしよう
とか勝手に考えてる。
「紗季に会ってく?」
突然そう聞かれれば
返事に困ってしまう。
せっかく来たのだし
会っていこうとも思ったけど
きっと
2人が楽しそうにしている姿を
あたしはまだ
受け止められない…
『サキちゃんに会うのは
また今度にしておきます。』