Secret Heart
「そっか
じゃあまた今度来なよ。」
じゃあね、と手を振って先輩は行ってしまった。
『はぁ…。』
気が抜けたあたしは
ぺたんとベンチに座り込む。
視線を上げれば、空はいつの間にか赤く染まっていて
優しい光に思わず目を細めた。
あたし少しでも
先輩の力になれたかな?
先輩があたしの言葉で
涙を流して
あたしの言葉で
笑顔になる
それがたまらなく嬉しくて…
こうしている間にも
先輩とサキちゃんが近付いていっていくことなんて
ちっとも気にならなかった。
もういいかなって
思ってしまっていた。