Secret Heart
するとサキちゃんは、満面の笑みであたしの手を握る。
「陽菜ちゃんのおかげだよ
ほんとうにありがとう。」
サキちゃんの大きな瞳から零れ落ちる一粒の雫。
今までの辛かった出来事を
思い出しちゃったのかな…
『サキちゃんが頑張ったから
「俺からもお礼言わせて、
今日までほんとありがとな。」
あたしの言葉を遮るように
先輩が声を投げかけてきた。
振り返ると先輩は優しく笑ってあたしの頭をなでた。
『2人に元気になってもらいたかっただけですから。
あたしの役目も
今日で終わりですけどね…。』
離れた指先
久しぶりに感じた先輩の手のひらの温もりに
目頭が熱くなる。
『それじゃあ
あたしはもう帰りますね。』
涙が零れてしまう前に
この場を逃げ出してしまおう。
くるりと踵を返して立ち去ろうとした…その時
「待って!
家まで送ってくよ。」