Secret Heart
『あたしは大丈夫ですから…
家に真っ直ぐ帰ります。』
サキちゃんの優しさはとってもありがたいけど
気持ちだけ受け取っておこう。
「だめ、俺が大丈夫じゃない。何かおごらせてよ。」
再び帰ろうとしたあたしを
先輩が手首を掴んで制止した。
ふう…
ここまで言われたら
いくらなんでも断れないよ。
きっとこれが
先輩と2人で話せる
ラストチャンスだと思う。
ううん
そうするつもり。
だから今日くらいは
独り占めしてもいいよね?
『じゃあ、
お言葉に甘えて…。』
「よし、決まりな!
じゃあ玄関で待ってて。」
渋々先輩におごってもらうことを承諾しあたしに、先輩は満足したように微笑んだ。