Secret Heart
―放課後―
いつもは動きが遅いあたしも今日の決戦(?)のために、早々と準備を始める。
制服を脱ごうとボタンに伸ばした手の指先が、かすかに震えていた。
誰もいない教室
あたしの鼓動の音だけが、静かに響き渡る。
鼓動を鎮めるように胸に手を当ててそっと瞳を閉じれば
先輩が好きだと
改めて実感させられる。
おかげで自然と笑みが零れて、緊張の糸がほどけていった。
「作戦は考えたのー?」
しんみりとした空間に、凛ちゃんの明るい声が届いた。
『凜ちゃ~ん。
考えたには考えたんだけど、上手くいくか心配だよ…。』
「それは、その作戦を聞いてみないことには分かんないし、あたしに教えてごらん?」
そう言って凛ちゃんは、あたしの目の前の席に腰を下した。
あたしのつるつる脳みそで考えた、浅はかな作戦を教えるのは少々躊躇ったが、凜ちゃんの的確なアドバイスを期待して全てを話す。
『えっと……』