Secret Heart



―放課後―



いつもは動きが遅いあたしも今日の決戦(?)のために、早々と準備を始める。





制服を脱ごうとボタンに伸ばした手の指先が、かすかに震えていた。



誰もいない教室


あたしの鼓動の音だけが、静かに響き渡る。




鼓動を鎮めるように胸に手を当ててそっと瞳を閉じれば


先輩が好きだと
改めて実感させられる。




おかげで自然と笑みが零れて、緊張の糸がほどけていった。






「作戦は考えたのー?」



しんみりとした空間に、凛ちゃんの明るい声が届いた。




『凜ちゃ~ん。
考えたには考えたんだけど、上手くいくか心配だよ…。』



「それは、その作戦を聞いてみないことには分かんないし、あたしに教えてごらん?」



そう言って凛ちゃんは、あたしの目の前の席に腰を下した。




あたしのつるつる脳みそで考えた、浅はかな作戦を教えるのは少々躊躇ったが、凜ちゃんの的確なアドバイスを期待して全てを話す。





『えっと……』





< 27 / 177 >

この作品をシェア

pagetop