Secret Heart
「今、部活帰り?」
『はい。
あたしも人待ってるんです。』
「じゃあ同じだね。
てか敬語いいよ?
うち、東高2年の藍川紗季。
よろしくね。」
そう言って求められた握手に応えてあたしも手を差し出す。
微笑む彼女は、制服を着ていなければ高校生だと分からないほど大人っぽい。
「きみの名前は?」
そう質問された時、ふと一つのことを思い出した。
アイカワ、サキ……?
それは、あの時から頭に張りついて離れなかった名前。
あたしの心のモヤモヤの原因。
魔法をかけられたかのように、体が動かなくなる。
「どうしたの?」
黙り込むあたしの顔を、アイカワサキと名乗る…目の前の女の子が心配そうに覗き込む。
『…あの“サキ”ちゃん?』
「ん?」
『サキちゃんが待ってるのってもしかして…。』