Secret Heart
“彼女さん、大事にしてあげてください”
そんなこと、思ってもない。
思いたくもないよ…
あの場ではそう言うのが無難だと思ったから言っただけ。
我ながらあの状況下で、迫真の演技だったと思う。
あたし、女優になれるかも?
なんて
そんなのただの強がり。
ほんとはあんなこと、嘘でも言いたくなかんかなかったよ…
『あたし、バカみたい…。』
彼女がいることを始めから確かめておけば
こんなに辛い想いをすることはなかった。
こんなに好きになる前に諦めることができたかもしれない…
あたしは、我慢していた涙が一気に溢れだし、人目もはばからずに泣いた。
そして家に帰ってからは、さっきの出来事を思い出す暇も与えず、すぐ眠りについた。