Secret Heart




怖かった


緊張した




けどそれ以上に

苦しかった…




“早くサキちゃんに会いたい”



それがあたしの横顔を見る先輩からひしひしと伝わってきて、瞳を合わせることが出来なかった。




あたしとの話が終われば、先輩はサキちゃんのもとへ行ってしまう。



それを思うと
1分でも、1秒でも長く


先輩の隣にいたかった。




「紗季が待ってるから」

その言葉で、先輩とサキちゃんの幸せそうな顔がふと思い浮かんでしまった。



でも
手を振って去ろうとする先輩を引き止めるだけの言葉が思いつかなくて



ただ、奥歯を噛み締めていた。




こんなにも
先輩が大好きなのに



先輩の心は簡単にサキちゃんに持っていかれてしまう。





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