Secret Heart
瑛司の胸から離れ、涙を拭いて笑顔で瑛司を見上げる。
『あたしもうだいじょうぶ。
ありがと、瑛司。』
「…っ。」
『どうしたの?』
ふいに瑛司が表情を歪ませた。
どこか苦しそうな顔
「…なんでもあらへん。
ほら、もう遅いから帰り?」
気にはなったけど、すぐにもとの瑛司に戻ったからあまり気に止めなかった。
『うん。
じゃあね瑛司!』
促されるまま荷物を持って、あたしは部室をあとにした。
「…なんで、俺やないねん。」
あたしの知らないところで
違う想いが交錯していた。
それを知るのは
まだちょっと先のこと。