Ekizacamu
第1章.母親の告知
「ごめんねレイ。お母さん、癌なんだって」
そう聞かされたのは
俺が高校1年の時。
現実を受け止めれなくて
頭が混乱していた。
「な...治るのかよ...?」
精一杯振り絞ってやっと聞けた事だった。
母親は首を横に振った。
その時の母親の目は
悲しそうで、強い目をしていた
俺の家族は母親と妹しかいない
オヤジは俺が小6の時に
女作って出て行ってしまった
それからオヤジとは逢っていない。
言うまでもないけど
俺はオヤジが嫌いだ
それから母親は俺達2人を
一生懸命育ててくれた。
俺はともかく、妹はまだ小学3年生だ。
優しくもあり、厳しくもある
いつも笑顔の母親が癌だなんて
しかも...治らない...
俺は言葉が出ず、母親の前で
呆然と立ち尽くしてしまった。